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中国の“美容SNS”を目指す口コミサイト「露倩網」 「アナログ作業」と「透明性」がサイト活性化のカギ

上海露倩網絡信息有限公司 副総経理 西谷好美さん

――中国で美容の口コミサイトを始めたキッカケを教えてください。

 ルーチェを立ち上げた2006年当時、中国には、日本やアメリカで流行っていた専門口コミサイトがなく、ブログもまだ普及していない状態でした。もともとネットビジネスに興味がありましたので、海外で流行しているネット口コミサイトを中国風にアレンジして勝負したらおもしろいと思ったのがきっかけです。

 美容市場をターゲットにしたのは、リアルに活用できる美容情報を知りたい中国人女性が多いにもかかわらず、当時の中国は(海外雑誌や芸能人の美容情報以外に)美容に関する情報が非常に少ない状況だったからです。また一方で、中国市場に進出する日系化粧品メーカーも増えていて、中国で商品をアピールしたいというニーズが増えていました。そこでこの2つのニーズを結びつけるような口コミサイトを作ればビジネスになると思い、化粧品を中心とした美容に関する口コミサイト「露倩網」をスタートしました。

――中国には、ルーチェ以外にも美容口コミサイトがありますか。

 我々の他にも女性向けのポータルサイト(Only Lady、太平洋女性網(PC Lady)、瑞麗(Rayli)など)内で運営されている美容ページがあります。そのような競合サイトと比較して、運営者が裏方に徹して「ユーザー主導のコミュニケーションの場を作っている」ことがルーチェの特徴です。ユーザー間のコミュニケーションを活性化するための仕組みとしてルーチェにはブログ、BBS、写真共有、Q&A、マイページなどユーザー同士がつながる機能があります。我々は単なる口コミサイトではなく、中国における美容のSNSを目指しています。
 またルーチェの会員は、他サイトと比べてルーチェに対してロイヤリティーが高いことが特徴です。ルーチェで発言を増やし活躍するオピニオンリーダーには、新商品を一般の人よりも早く体験できたり、メーカーのイベントに優先的に招待されたりするなどの特典があります。また一般ユーザーに対しても、質問に丁寧に答える等も評価して頂いています。

――ルーチェはどのようなユーザーが利用しているのでしょうか。

 上海、北京の女性を中心に50万人の会員がいます。就職して比較的自由に美容にお金を使えるようになった23~27歳の女性が全体の55%、10代後半から30代が90%以上を占めます。
 また、会員の中にブログ等で積極的に発言し、コミュニティを盛り上げてくれるホットブロガーが上海居住者を中心に300人程度います。

――そういったホットブロガーの存在が不可欠ですよね。

 コミュニティのオピニオンリーダー的な存在として、サイトを自発的に盛り上げてくれるホットブロガーの存在は、コミュニティ運用上最も重要といっても過言ではありません。そういったホットプロガーの方々に活躍してもらう環境を整えることを、常に考えています。

――ホットブロガーは、どうやって選定するのですか。

 発言の頻度、発言数の多さではなく、発言の「質」で決まります。コミュニティメンバーにとって参考になる質の高い発言を、どのくらいしているかを見て選定しています。
 ルーチェでも、会員毎のコメントの数、更新頻度、コメントのクリック数など定量的なデータを集計してランキングづけしていますが、そういった数が多い人がホットブロガーかというと、そういう訳ではないのです。
 そのため、ルーチェのスタッフが「アナログ的」に、会員の発言内容を随時確認して、「誰がホットブロガーなのか」を判断しています。ホットブロガーには入れ替わりもあります。これまで頻繁に発言をしていたホットブロガーが、転居や結婚・出産等の環境の変化によって、急に発言しなくなったりするからです。

――ネットの世界でも、意外と「アナログ」処理が重要なのですね。

 手間をかけないとできない「アナログ」処理をしているからこそ、ルーチェのコミュニティはクオリティを保ちながら活性化しているのだと思います。
 また、ホットブロガーの発掘以外にも、こまめにコミュニティ内をパトロールすることで、不適切な発言、明らかに間違っている内容(ブランド名、商品名が間違っている等)を修正できます。ユーザー主導のコミュニティとはいえ、公共性のある場所なので、健全な状態を保つための努力は欠かせません。

――ホットブロガーの方は、ルーチェ内のブログで、どのような発言をしているのでしょうか。

 ホットブロガーの多くは、美容のためにかなりのお金をかけていて、完全に趣味の範囲を超えています。ブログに貼付する写真をキレイに取るために一眼レフを購入したり、自分で使い切れないくらい様々な種類の化粧品を買う化粧品オタクの人もいます。中には、化粧品のPH値、保湿度等を測る専門の器械を個人で購入して、化粧品ごとの測定値をブログに書く人もいます。
 また日本人女性には少ないと思いますが、化粧品の効果をブログに書くため、素顔の状態から、自分がその化粧品を使っていくプロセスを、詳細な写真入りで紹介してくれる人も少なくありません(笑)。自分の経験をみんなに広めたい、自分のことみんなに見てもらいたいという中国人のモチベーションはすごいです。

以前は周囲の人のお薦め以外に、「好きな芸能人が使っている化粧品を使いたい」と思う人が多かった消費者が、遠い存在の芸能人よりも、美容情報に詳しく、一般人と同じ感覚を持ったホットブロガーが使用している商品の率直な使用感想を参考にする女性が増えています。通常の広告宣伝と異なり、友達感覚の人が、自分の言葉で話す口コミは、特に中国では威力を発揮します。警戒心の強い中国人も、好きな人、自分の信頼できる人の言うことなら耳を傾けるからです。

――ホットブロガーには、お金を払って口コミをしてもらうのでしょうか。

 ルーチェでは、特にお金を払っていません。発売前の新商品を一般消費者に先駆けて試せるイベントや、化粧品メーカーが開催する参加人数限定のプロモーションイベントなどに優先的に招待しています。そういうイベントに参加することで、一般の人が入手できない情報をいち早く手に入れることができる(そこで仕入れた情報も自身のブログで発信できる)というモチベーションをホットブロガーの方々には提供しています。

――最近中国で流行っている中国版ツイッターの「新浪微博」(Sina Weibo)も積極的に使われていますね

 LUCE露倩網という微博IDでつぶやいています(2011/9/13現在フォロワー数14,987名)。化粧品を利用する際に手軽に使えるノウハウ、新商品の情報、化粧品サンプルプレゼント情報などをつぶやいています。またルーチェのホットブロガー達のブログ内容などもつぶやきネタにしています。

――中国では、日本以上に「プレゼントをあげる」キャンペーンなどが効くのでしょうか。

 確かにプレゼントは効果がありますが、バラマキにならないように注意する必要があります。商品サンプルを使用したらリピートしてくれそうな人や、情報発信能力のある人に配って、口コミを書いてもらい、情報を広げてもらうことがコツです。情報発信力のある人の中には、例えば、プレゼントの箱を開けるところから臨場感あふれるブログを書いてくれる人もいます。そしてそれを見て興味を持った人が、実際の商品購買へと誘導されていきます。
 また中国では、プレゼントを提供するプロセスも透明にすることが重要です。「抽選で100名にプレゼント」と言っても、実際にはプレゼントされないケースもあるからです。ルーチェでは、当選者のユーザー名を公開したり、スタッフブログでプレゼントの発送状況などを随時報告することで、透明性を出し、当選者からの質問にも丁寧に対応しています。

――ルーチェサイト内で企業のブランド・コミュニティ運営もやられているのですね。

 ルーチェで培った中国口コミ・コミュニティ運営ノウハウと会員基盤を利用して、資生堂のマキアージュ、IPSAなどのブランド公式コミュニティの運営もしています。新商品情報はもちろん、公式サイトでは得られないブランドの口コミ情報、体験会イベント情報などを発信しています。新商品の先行体験会も定期的に開催し、今までたくさんのブロガーが体験会に参加しています。

――化粧品以外の商品に関してもマーケティング支援などもやっていますね。

 ルーチェの「美容好きで購買力の高い20代の女性」という会員基盤が利用できる商品のマーケティング支援も行っています。美容にお金をかけている女性は、自分が関心のあることであれば、美容以外でも惜しみなくお金を使う可能性が高いからです。
特に広告では伝えきれないこと、限られたスペース・時間では伝えるのが難しいことを伝える手段として、口コミが有効です。ルーチェではこれまでそういった商品の販促支援も行ってきました。例えばダイエット飲料や健康飲料、サプリメントなど、体験者の声が参考になる商品です。Q&Aを中心にしたブロガー商品体験会や、ある一定期間飲み続けた経過をブログで綴ってもらったり、と広告では伝えきれない効果をブロガー目線で情報発信してきました。

 またこういったブロガーを招待するイベントは企業自身にとっても有効です。通常企業からはなかなかこうしたオピニオンリーダーの顔が見えないのが普通ですが、イベントを通じて、直接会ってコミュニケーションできるからです。

――美容に関して、中国人と日本人の趣向の違いはありますか。

 中国人は、日本人よりも淡い色ではなく、比較的はっきりした色を好むとか、化粧品でも即効性を好む傾向があります。
 また北京は上海と比べて乾燥しやすいので保湿系の化粧品が好まれるとか、コンサバなメイクが好まれるなどの特徴もあります。

――E-commerceサイトも運営されていますね。

 ルーチェの50万人の会員を生かして、美容・ファッションセレクトショップ露倩商城(ルーチェモール)で化粧品とアパレルのネット販売を行っています。会員が口コミを見て、「これいいなぁ」と思ったときに、すぐ買える仕組みです。日本人よりも移り気な中国人にモノを買ってもらうためには、買いたいと思ったタイミングを逃さないことが大切です。
 もともとメディアで会員を集め、ある一定の認知度を得た段階で、ネット販売に進出したいという戦略を持っていました。本物を安心して購入でき、口コミとも連動した仕組みです。

 さらに、化粧品における中国進出支援サービスも行っています。最近は、日系化粧品メーカーからの中国販売に関するお問い合わせが増えています。今までの中国ネットメディア運営、マーケティング・ノウハウを生かして、中国未上陸のブランドを中国でデビューさせるための進出支援、会員を活用したマーケティング調査、口コミマーケティング、販売という一連のサービスを提供しています。


(ダイヤモンドオンライン「リアル中国ビジネス」2011/11/29掲載)

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