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超カネ持ち中国人の海外不動産購入事情

上海良星房地産経紀有限公司 董事長 野間一敬 氏


――中国では、人民元と外貨のやり取りを当局が厳しく管理していると聞きます。中国人が何千万円もする日本の不動産を購入することは問題ないのでしょうか?

 中国人が、日本や海外の不動産を購入すること自体は全く問題ありません。厳しく管理されているのは、あくまでも「人民元と外貨の両替」ですので、中国人でも既に外貨として保有している現金で海外の不動産を購入できるのです。
 中国では1人当たり年間5万USドルまで人民元を外貨に換えることが認められているので、何年間かかけて人民元を外貨に両替していれば、海外の不動産を購入するために必要な外貨資金を持つことも十分可能です。実際、日本人よりもリスクに敏感な中国人は、ある程度資産ができると人民元だけでなく、一部を外貨として保有しリスク分散をするのが普通です。

――リスク分散をするのであれば、なぜ中国人は外貨預金として資産を保有するのではなく、海外不動産へ投資するのでしょうか?

 1つは、海外の国籍や海外の永住権を手に入れるためです。香港、シンガポール、オーストラリア等には、一定の条件を満たすような不動産を購入した外国人に、帰化を認める制度があります。中国人を含めた華僑の中では、一族の何人かは異なる国籍を持ち、万が一のときに別の国籍を持つ親類を頼るという考え方があります。その意味で、不動産を購入することで、中国以外の国のパスポートが手に入るというのは、中国人にとってとても魅力的な条件なのです。
 最近では韓国済州島の不動産を購入し5年間保有した外国人は、たとえ韓国に居住していなくても永住権を得られるようになりました。また済州島には、地域まるごと、中国人が住むことを前提に建設されている富裕層中国人向けの高級リゾート物件もあり、中国人が海外で心配なく生活できる措置を国レベルで推進しているのです。
 残念ながら日本にはそういった制度がないため、中国人から見ると日本への不動産投資は、相対的に魅力がないのが現状です。今のところ日本への不動産投資を考える中国人は、日本を訪れる機会が多かったり、既に対日ビジネスを営んでいたりする人が中心かと思います。
 また、国籍や永住権以外の理由として、中国国内の銀行口座で外貨を持つのではなく、中国政府の方針の変化に影響されない物理的な国外の資産を保有したいという考え方もあるのだと思います。

――ここ数年、中国富裕層が東京や北海道で不動産を購入したという話も聞きます。

 私の知る限りですが、これまで日本で不動産を購入しているのは中国人といっても、香港人、台湾人がほとんどで、我々がターゲットにしている中国大陸の中国人はまだ少数かと思います。また現在は、「円高」と昨年の大震災による「放射能への不安」もあり、我々の新事業には逆風状態が続いています。

――中国人富裕層は、やはり「豪邸」をターゲットにするのでしょうか?

 以前、中国人富裕層に京都の一等地にある「億ション」を紹介したことがあります。その際、中国人富裕層が口を揃えて言うのが、「狭い」ということです。数億円投資するのだから、ビジュアル的にも広く豪華なものを期待するからでしょう。日本の数億円を超える不動産の場合には、諸外国のリゾート豪邸物件と比較されてしまうので、日本のことをよく知っている日本贔屓の中国人以外には買ってもらいにくいかもしれません。

――御社が手掛けている比較的リーズナブルな不動産案件は、どのような中国人がターゲットになるのですか?

 今弊社が手掛けている物件で、池袋から徒歩4分にある新築物件があります。25m2程度の広さの1K物件で、価格は2500~3000万円程度。賃貸して年間5~6%程度のリターンを得る投資物件です。
 5~6%のリターンは中国国内でも銀行の定期預金等で簡単に得られるので、投資というよりは保有資産をリスク分散しながら、安定したリターンを確保したい中国人向けです。中国の30~40代のニューリッチ層と呼ばれていて、既に中国国内に不動産を2~3持っているような人達が手軽に購入できる物件です。
 日本以外に居住している中国人が日本の不動産を購入する場合には、日本の銀行でも、中国の銀行でもローンはまず組めないため、「現金」で購入することが条件となりますが、弊社へ問合せ頂く方では現金購入について「それは問題ない」とおっしゃる方がほとんどです。

――日本の不動産に興味を持つ中国人からはどのようなリクエストがありますか?

 名古屋で探してほしいとか、大阪に会社を持っているので大阪で探してほしいとか、海と富士山が見える静岡の物件を探してほしいとか、「場所」と「目的指定」でリクエストを頂くことが多いです。
 他に最近は、「地震対策」についての質問が増えています。物件自体の耐震構造というよりは、もし地震が起こったときに政府や自治体がどこまで保証してくれるか、つまり投資後に不可抗力によるロスがないかを心配される方が多いです。ただし、日本に限らず、欧米、中国も含めて、どこで不動産を購入しても自然災害リスクはあるのですが。

――逆に、日本の不動産会社は、物件の一部を中国人に販売することに抵抗感はないのでしょうか?

 不動産を売る日本の不動産会社側も、物件を購入した中国人が、日本の常識を超えるような振る舞いをして、隣に住む日本人への悪影響があったり、物件の資産価値そのものを棄損させるようなことがないかをとても気にしています。
 それに対しては、先に説明したように「数千万円を現金で払える」という条件があるので、購入者はある程度のハイクラス層に線引きされることと、実際に契約に至るまで弊社側で購入者の査定を行い、問題がありそうな非優良カテゴリの方へは販売しないようにすることで、日本の不動産会社側の不安を取り除いていきたいと考えています。

――中国人は日本の不動産に投資する前に、必ず現場を見ますか?

 ほぼ必ず現場を見ます。しかしまだ購入が決定していない段階で、中国人のお客様を日本へ現場見学に無料でお連れする事はできませんので、中国系及び日系の旅行会社と提携して通常の日本観光旅行ツアーのオプションとして投資物件を案内する方法をとっています。当然その段階ではツアー旅行費用は中国人のお客様負担となっています。

――中国では不動産バブルであることが、日本でも知られるようになっています。現在、上海の商業店舗の賃料相場はかなり高くなっていると聞きますが、実
際どれくらいですか?

 上海の一般的な市街地で8~25元/m2・日(1000m2の場合の月家賃で24~75万元)程度、南京路、淮海路等の一等地だと40~60元/m2・日(1000m2の場合の月家賃で120~180万元)と、かなり高相場です。
 例えば上海で飲食店を始める場合には、賃料、保証金のコスト負担以外に、物件の前の賃貸者から飲食店の営業権ごと譲渡を受けるための「譲渡費用(数万元~数百万元)」がかかる場合があります。中国では飲食店を始める際、店舗ごとに当局から飲食店の営業ライセンスや衛生許可等を取得する必要があるのですが、最近上海では、場所により営業ライセンスを新たに取得することが難しくなっています。
 そういった場所で飲食店を開業するためには、その場所でこれまで営業していた飲食店(その物件の前の賃貸者)から営業ライセンスや衛生許可等のライセンス一切を譲渡してもらう(その飲食店を店ごと〈会社ごと〉買収する)のが最もリスクの低い方法です。実際、賃貸契約から内装工事まで済ませたものの、想定外に営業許可がおりなくて予定通りの営業開始ができないという店舗も多く散見されます。
 飲食以外の、例えば美容や教育等の「サービス」業であっても、店舗出店をするのであればほとんどの業態でそれぞれ正式な営業ライセンスや衛生許可等を取得していることが出店必要条件になります。

――中国の場合には、賃貸契約があっても、勝手に追い出されるとか、賃料を法外に上げられることがあると聞きます。

 確かに、個人オーナーなどの物件では、そういうめちゃくちゃな事をいきなり突きつけられるケースもあります。しかし中国でも「業法」はきちんと整備されてきていますので、そのままそれがまかり通る事は少なくなってきています。それでも法廷で争う手間やコストを考えると、それを避けるべく契約当初の時点で必要最小限のリサーチやリスクヘッジは必要かと思います。

(ダイヤモンドオンライン「リアル中国ビジネス」2012/4/3掲載

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