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日本発のスイーツが中国大陸で大人気!

上海麦海食品有限公司(VIMIU)総経理 蘇悦 氏


――日本で人気の出たスイーツは、中国でも同じように売れるものなのでしょうか?

 日本の和菓子の「甘い」、「餅米で作られている」などの特徴は、中華菓子とも似ているため、中国人に受け入れられやすい商品であることは事実です。ただ日本で売っている和菓子をそのまま中国に持ってきても売れないので、「修正」が必要となります

――具体的にはどのような「修正」が必要なのですか?

 例えば、色をたくさん使い過ぎていると中国では売れません。本当はそうではなくても「合成着色料を使っていて身体に悪い」と思われてしまうからです。

 また「伝統的過ぎる」のもメインターゲットである若い中国人にはアピールできません。中国では、伝統を守り続けているというコンセプトよりも、上海で人気スポットとなっている新天地、田子坊などのように、伝統にモダンを取り入れる方が人気が出るのです。

 そして、最も修正が必要なのは「価格」です。日本で売っている価格のままで、和菓子を売ろうとしても、値段が高すぎて中国人には買ってもらえません。例えば弊社で展開している餅スイーツの単価は6~7元(75~90円)です。これ以上値段が高くなると、中国で20~30店舗の展開はできても、200~300店舗は展開できません。

――御社の主力ブランドである餅スイーツ「摩提工房」はどのような客層をターゲットにしていますか?

 餅スイーツは、中国では1個6元の「手が届く贅沢品」です。15~30代の女性に、週に1回、もしくは月に1回の自分へのご褒美として食べてもらうものです。何となく買い物に来て、おいしそうだということで誘惑に負けて買ってしまうというのが、私どものお客様です。

 逆に「今日は肉を買おう、サラダを買おう」と目的を決めて買い物に来る人は、私どものお客様ではありません。したがって、人通りが多く、つい衝動買いしてしまうような雰囲気があるところに出店しています。

――御社は中国で多店舗展開する手法として、FCでの展開を積極的に行なっていますが、直営展開という選択肢もあったはずです。

「資金」と「人材」が十分あれば、中長期的にじっくりとブランドを作っていける直営で展開するのが最適だと思います。もし、それらが十分でなければ、最初に直営で店舗をスタートして売れる実績を作ってから、FCで拡大し、資金と人材が整ってきたところで直営比率を高めていくというアプローチになると思います。ただし、既存のFC店と競合して、売上や利益を横取りしないように注意することが大切です。
弊社では、上海から日帰りで往復できる華東地域を、本社で管理できる店として、また影響力のある北京などは直営で展開していますが、それ以外の都市はFC中心で展開しています。

 上海から日帰りで往復できる距離を直営にするには、理由があります。上海の直営店では優秀な店長だった人でも、本社の管理が行き届かない地方の直営店に送りこむと、自分が老板(=社長)だと勘違いして、やりたい放題になり、悪い店長になってしまうということがよくあるからです。

 我々は食品を扱っているので管理をしっかりしないといけません。したがって、自社でキチンと管理できない地域は、その地域の地元のFCオーナーに管理してもらう方がよいのです。

――FC展開する上でのポイントを教えて頂けますか?

 FC展開にはいかに優秀なFCオーナーを多く集められるかにかかっています。

 中国の場合、多くのFCオーナーの興味は、「目先の利益」にあります。投資対象は別にFCでなくても、株でも不動産でも金(ゴールド)でも何でもいいのです。ですので、まずは「この店をFC展開すれば、すぐに儲かる」と知ってもらうことが重要です。そのためには「実際に中国で売れていること」、「実際に中国で儲かっていること」を証拠付きで示すことが必要です。

 事業を立ち上げた当初は、少なくとも最初の数店舗は直営で出店し、結果を出す必要があること、先ほど申し上げました。われわれの「摩提工房」がFCで店舗を急拡大できた理由は、「最初の直営店舗で人気が出て売れて、テレビにも取り上げられて話題になったこと」、そして「最初のFC店舗でも直営店と同じように売れたこと」が一番の理由でしょう。私たちは、それをFCオーナー候補者に見せました。

 東南アジアへの展開も同じです。香港に出した直営店が売れたのを見た投資家が、「FCをやらせてくれ」と言ってきて、現在マレーシア2店舗、ベトナム5店舗にもFCで展開しています。

――売れること、儲かること以外に、FCオーナーを集めるために気をつけることはありますか?

 FCオーナーのことを考えて、できるだけ初期投資コストを抑えたスタンダードパッケージを作ることが重要です。これには、本部の工夫と忍耐が必要です。

 私たちの場合、例えば店舗に必ず必要となる冷蔵ショーケースを1店舗目を出す前から100店舗分を発注して、単価を下げる交渉をして発注しました。実際には当初の見積もりの1/5の価格で、品質はまあまあのものが納入されました。

 またFC加盟店料も1店舗数万元程度と、かなり安く設定してあります。FC加盟店料を安くすることで、応募者をたくさん集め、そこから有望なFCオーナーを厳選するというスタイルでやっています。日系企業が中国でFC加盟店を募集する場合に、加盟金1億円と言い出す場合もあるそうですが、そんな条件では中国では誰もFCをやろうと思いません。

 したがって、私たち本部は、店は大人気でも5年間は赤字でした。FC店舗の展開と直営店の経営は、そんなに簡単なことではないのです。

――御社が考える「優秀なFCオーナー」とは、具体的にどういう人ですか?

 一番重要なのは「やる気」です。

公務員、弁護士、会計士、芸能人は最初からお断りしています。片手間にやる人ではなく、本気で店舗経営をしてほしいからです。またFCオーナーになるためには、実際の店舗で研修を受けてもらうことになっています。その際に「ピアスとか指輪などを外せない人」もお断りしています。

――本部はFCオーナーからどのくらいロイヤリティを取っていますか?

 最初に支払ってもらうFC加盟店料以外は、商品を仕入れてもらうだけで、ロイヤリティなどは一切取りません。FCオーナーにしてみれば、どんな名目だろうが取られるのは一緒です。だったらシンプルに「仕入れ」一本にした方が分かりやすいのです。

 例えば「売上の何%をロイヤリティで取る」という契約にすると、FCオーナーが売上高をごまかしていないか確認する人材が必要になります。お互いの得にならないようなことをやめて、シンプルな条件にするがベストです。

 商品の仕入値も、FCオーナーが60%以上の粗利が取れるように設定しています。また不良品の交換も、契約上はFC側にミス(冷蔵庫の温度設定ミスなど)があればFC側が負担することになっていますが、大抵のケースはこちらの負担で交換しています。サービスや品質向上にもキチンとお金と気を使ってもらい、FCオーナーに利益を十分出してもらいたいからです。

――FC店舗のサービスレベル向上は、どのように対応していますか?

 現在全ブランドで460店舗出店していますが、半分の230店舗のサービスレベルは満足のいくレベルに到達していません。特に遠隔地の店舗はまだまだ改善が必要です。ただ、サービスレベルにこだわりすぎると、出店数が増えないので悩ましいところです。

 弊社ではサービス研修スタッフが5人いて、年に3回、チームが全国の店舗を訪問して調査し、調査結果をレポートにしてFCオーナーに提出しています。改善が必要な店舗は研修も行うようにしています。また全国の店長を年に2回、上海に呼んで研修もしています。これから全店テレビ電話導入やその他遠隔操作システム等を充実させ、研修回数を今までの倍以上に増やしていきます。

 その他に、FCオーナー全員を毎年1回、本部に招待するイベントもやっています。ブランド別に成績1~3位の店舗を表彰します。売上の絶対額よりも、成長度合とQSC(Quality, service, cleanness)で評価しています。年に1回、FCオーナーを海外視察に連れて行きますが、成績1~3位のFCオーナーはこちら負担で招待させてもらっています。

――これまで中国でFCでの店舗展開を多く経験されていて、何が一番重要だと思いますか?

「ブランドそのものよりも、FCオーナーをはじめ、従業員を含むその他のビジネスパートナーとの関係にこそ価値がある」ということです。極端にいうと、この「関係」さえあれば、他のブランドを持ってきても成功するということです。

 したがって、FCオーナーとの関係を強化することは重要です。例えばFCオーナーが儲かる仕組みを作ることは基本です。さらに、不良品が出れば基本的に本部負担で交換するなども重要です。プライベートなことにも気を使います。FCオーナーの子どもが産まれたらお祝いとして子ども服やおむつを贈る、誕生日には連絡するということを通して、FCオーナーとの距離を縮めることが重要です。

 FCオーナーが大企業の場合で、経営者に1、2回程度しか会ったことがないような関係の場合、FC店舗経営でよい結果がでないケースが多いです。

――店舗スタッフの募集、教育などはどうですか?

 外食産業全体として店舗スタッフを集めにくい状況が続いています。内陸部の経済発展により、沿岸部へので出稼ぎ労働者が減っているほか、外食産業への就職に人気がない等の理由があります。

 弊社の直営店は約100店舗あるのですが、各店舗1名くらい、約100人のスタッフが足りない状態です。以前は高卒以上という条件で採用していましたが、今はその採用基準を下げるしかない状況です。

 アパレルの場合は販売員個人単位で業績が分かるので、売上歩合などによりモチベーションを提供できるのですが、弊社のようなスイーツ販売は、商品単価が低いのと、個人ではなく共同作業での販売となるため、店全体では販売額に応じてボーナスは提供できても、個人をピンポイントで刺激できないのです。

 また店舗スタッフは、容姿がキレイな女性などでない方がよかったりします。外見がよい女性は、入店してからすぐ別の店に引き抜かれるので、一生懸命教えてもムダになるからです。

――今後の御社の事業展開について教えて頂けますか?

 私は、中国の主要200都市で、日本のデパ地下のような、いろいろなスイーツを集めたスイーツコーナーを展開していきたいと考えています。

 用途別にさまざまなセットメニューを揃えたいと思っています。例えば、和菓子や洋菓子、中華菓子やドリンクもあり、1人用の7~8元(≒100円)のスイーツもあれば、家族や仲間で食べる70~80元(≒1000円)のスイーツ、ギフト用の400元(≒5,000円)のスイーツも取り揃えます。スイーツ1ブランドごとに出店先と交渉するよりも、いろいろなスイーツブランドがまとまってスイーツコーナーとして展開することで、有利な出店交渉ができます。中国の有力都市には、弊社のブランドが1~2つすでに出店しているので、そこにいろいろなブランドを追加投入していきたいと思います。

 そのために取扱ブランドも、今後増やしていきたいと思います。我々にはすでに多くの直営店舗網と優良なFC店オーナー、各地方のデパート等の出店先など貴重なインフラがあります。他の“日系スイーツ”ブランドや日本で中国展開を考えている菓子メーカーなども、ぜひ弊社のインフラを活用して欲しいと思っています。

 実際、今年3月24日には、弊社が合弁で店舗展開を行っている日系ベイカリーチェーン「HEART BREAD ANTIQUE」の中国進出1号店(上海)もオープンしています。
中国でも売れそうなスイーツを展開している日本企業は老舗であり、伝統を重んじるが故に保守的なケースも多いのですが、中国市場で成功するためには、中国人向けにアジャストすることも必要です。

――スイーツ店は、中国では何店舗出店できると思いますか?

 私はこれまで、1つのブランドで中国に数百店舗を出店してきたので、「すごい」と言われるのですが、本当は2000~3.000店舗は展開できるはずだと思います。KFCだって既に5000店舗を中国で展開しているのですから。
 弊社では、中国のGDPトップ200都市について、街ごとに進出可能店舗数を決めています。この都市ごとに弊社で決めた進出可能店舗数を超えてFCオーナーが出店する場合には、加盟店料もとりません。

(ダイヤモンドオンライン「リアル中国ビジネス」2012/5/29掲載

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